COOKERS blog

料理やご飯にまつわる日常をつらつらと。

人はどれだけ食べるのか。食材の適正量計算

こんにちは、COOKERSの近藤です。

昨日、こんな記事が上がっていました。

togetter.com

 

ケータリングの仕事をしていると、この「食べる量」の物量計算が本当に重要。

少なすぎれば「量が足りなくて物足りなかった」というクレームが来ますし、多すぎても「料理が随分と余ってるから、今回のケータリングは不評だったな。次お願いするのはやめよう」という判断になります。

特に料理が余っている状況は、食べ物を粗末にしてはいけないという文化で育っている日本人は強烈な不快感を感じるようです。(実際、自分自身も料理を残すのが苦痛ですし)

 

そこで正確な食べる量を測定する必要があるのですが、僕はこれを「タンパク質(注)」の量で測っています。

 

総重量やカロリーではなく、肉や魚のタンパク質重量で測る理由は「食べ応え/満足度」と大きく影響するためです。さらに、原価も炭水化物や野菜類などと比較すると高くなるため利益の影響度にも大きく関わってきます。


<追記>

(注)純粋なタンパク質はお肉の中で20%程度の重量ということなので、肉の重さを表すのに「タンパク質」というのは不適当だという指摘をもらいました。指摘くださった方ありがとうございます。

 

ここでは肉だけでなく魚の可食部の重量も計算に入れたかったため「タンパク質」と表記しました。便宜的に「肉・魚の可食部の重量=タンパク質」として読んでください。

 

では、実際にいつも使っている計算式を説明します。

 

200g(基本値)× 人数 × 属性値 × シチュエーション = タンパク質重量

 

1)基本値

基本のタンパク質の総量は200gで計算します。これは、ステーキ屋さんなどでランチで出てくるお肉のグラム数がこのぐらいというのを基準に算出しています。

 

2)人数

人は頭数分掛ければOKです。子供などが含まれる場合は小学生2人=大人1人分で計算、中学生以上は1人前で計算です。

 

3)属性値

食事を食べる量は集団の年齢構成/性別構成で結構大きく変わります。なので、(性別の倍率)と(年齢の倍率)を両方掛け合わせて計算します。

  • 男性中心=1.0倍
  • 男女半々=0.8倍
  • 女性中心=0.6倍

  • 若者中心(10代〜30代前半)=1.3倍
  • 中年中心(30代後半〜50代)=1.0倍
  • 老人中心(60代〜)=0.8倍

4)シチュエーション

ケータリングを始めた最初の頃は、この変数を考えていなかったのですが、実はこれが超重要。男女比率/年齢構成よりもずっと影響度が高い事に気づきました。

  • 社内懇親会/ホームパーティ/BBQ/忘年会など=1.2倍
    基本的にリラックスして親しい仲間たちと食べる会は、食べる量が当然増えます。会話よりも、まずは食事に意識が行くので料理を出していて楽しい現場でもあります。

  • レセプション、社外懇談会など=0.8倍
    勉強会の後などの食事会です。食事よりも会話が中心となるため料理にあまり関心が行きません。一巡で8割くらい無くなるイメージで用意します。

  • 名刺交換、立食、営業目的など=0.5倍
    これが立食の名刺交換会になるとお酒と会話が中心になり、ほぼ料理が食べられません。0.5倍でも場合によっては余るときもあるくらいですが、テーブルの上に料理がすっからかんになると見た目の問題もあるので、最低限は必要です。

それでは実際に計算してみましょう。

 

例1)学生時代の同級生と同窓会バーベキュー。20人で12時くらいから食べ始めて夕方16時ごろまで。30代前半の男性中心。

 

200g ×1.0(男性中心)×1.3(30代)×1.2倍(BBQ)= 312g
312g ×20人=6240g

となります。これを基準に牛肉や鶏肉、豚肉の焼き物や前菜で出すパテなんかのタンパク質分量を合計して6kg弱になるように調整します。6kgなんて、ちょっと多すぎない?と思うかもしれませんが、おそらくこれくらいは十分食べきれるボリュームです。焼きそばなどの炭水化物は最後の調整で用意しておきます(持って帰っても良い)

 

例2)勉強会後の立食パーティ。フィンガーフード中心で希望。食事よりも名刺交換メイン。男女半々80名。40代中心。

 

200g × 0.8(男女半々)× 1.0(40代) × 0.5(立食)= 80g
80g × 80人=6400g

 

人数は先ほどのBBQの例の4倍ですが、同じくらいのタンパク質分量になりました。ここから20g程度のタンパク質を使ったポーションを一人4つ程度食べてもらうイメージで固めます。が、実際はお酒だけで料理に全く手をつけない参加者もいる可能性が高いので、これでも多少は余ると思います。

 

こんな感じで料理のボリュームは、毎回かなり細かく気を使っています。今回ご紹介したのが基本式ですが、実際はこれに加えて食事時間がどれくらいあるのか、お腹の空き具合はどうか、営業なのかエンジニアなのか、などなどいろいろ考慮して決めています。

 

大人数のパーティやBBQだけでなく、デリバリーの発注するときにも役に立つと思いますので、ぜひ活用してみてください。